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2005年6月 5日 (日)

「ネットワークベイビー」を振り返る

 レンタルビデオ屋で発見して借りてきた。
 富田靖子主演の15年前のNHKドラマ。音楽を久石譲が担当。

 ヒロインは、コンピューターゲーム開発中の会社に事務員として雇われている20代の女の子の京子。もうすぐ発売されるネットワークゲームをプレイするように上司に命じられる。 そのゲーム世界の森の中に登場してきた小さなキャラクターに、ヒロインはつい、なくした自分の娘の名をつけてしまう。「なみ」という名を。そして、
「あなたをなんと呼んだらいいの?」
と尋ねられて、「まま」と入力してしまう。
 可愛い声が自分を見つめてはしゃぎながらママと呼んでくれる。語りかければ答えてくる。必ずしも思い通りの答えがかえってくるわけではない。返事すらしないこともあるし、わざと間違ったことを言うこともある。そんなキャラクターに、京子はなくした自分の子の思い出を重ね合わせてしまう。そしてどんどん入れ込んでいく。プライベートな時間はすべて、コンピューターの中の「なみ」と会って話すことにつぎこんでいく。自由に使えるお金はすべて、コンピューターの中の「なみ」と少しでも話せる環境を作り出すために使っていく。連休中に友達と行く予定だった旅行はキャンセルし、通勤の電車の中でもひたすらパソコンのキーを叩く。すべては「なみ」と話すため。

 子育てなんて遠い未来のことだったあの頃と、子供を産んで育てた後に読むのとでは、インパクトが全然違う。放映当時ですら、なんだかものすごいものを見てしまったとうちのめされたドラマだった。あの衝撃は今も如実によみがえってくるんだけど、子育てという経験をしてしまっている今、京子の心情はさらにリアルに感じられてしまう。

 昔と違い、2005年の今この作品を見ていたら、娘が隣に来て一緒に見始めた。画面上のキャラクターの可愛さを喜びながら熱心に見ていた。
 しかし、この作品、子供と一緒に見るのって怖いよ・・・・。ドラマの表現上はそうなってないけれど、京子が娘を思う気持ちって、サイコホラーのような狂気が入ってるし、子育てのしんどさを通ってきている身には、あの狂気は理解できてしまう。でも、理解できちゃう自分の心情って自分の子供にはあんまり見せたくなくて・・・。

 昔、このドラマを見終わった時、京子の最後の笑顔のせいで、京子はある意味ふっきれたのかと思っていたのだけど、今見るとまた別の思いも浮かんでくる。若さと未熟さゆえに子育てに疲れていた自分の行為が子供を死なせてしまった。その痛みは永遠にふっきれるわけはない。心の痛みが多少薄らぐような気になることはあっても、痛みは決してなくならない。だから、今はふっきれたと自分で思っていたとしても、京子はきっとまた何かにとらわれる。彼女自身がまだそれに気づいていないだけで・・・。

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コメント

ええっと、ネットワークベビーは放映のときからの
お気に入りだということはかねてよりご存知だと
思いますが、ぼくも、実際に子どもを育てている
関係で新たな感想を持ちえるようになっています。
といってもどっちかというと、元夫のほうです。元夫が
いったいどうしてここまで元妻に引きずられるのか。
昔は、これは過去の関係を引きずっているのかと思って
しまっていたのだけれど、今はこの夫もトラウマを消化
できずに、京子と同じ狂気を共有しているんだと。
ということで、おそらく京子がまだとらわれているのと
同じく、夫のほうもまだ囚われている。
おそらく、夫も、何かのきっかけで、再び囚われの身と
なるだろう、と。
家族で見られる作品じゃないですね。恐くて。

投稿: てらまこ | 2005年6月11日 (土) 23:31

 私、京子の元・夫の心理を今の今まで全然考えてみたこともありませんでした^^;>てらまこさん
 その事実にちょっと愕然。どっぷり京子寄りの視点で見ている自分は、他視点が欠如した状態。それって冷静に考えてみるとものすごく怖いですねえ。
 で、もう一本感想文追加してみたりしました・・・・。

 ところで、家族で見るには怖いドラマですが、てらまこ家の反応はいかなるものかにも実はちと興味があったりもします(^^)

投稿: るんせる | 2005年6月14日 (火) 19:47

うちにはこれのビデオがないので、見返すことができないのです。ただまあ、どっちにしてもうちで一緒に見ることができるかなあ?テレビを見ない生活なもので。

元夫の心理だけど、なんかもっと自分でも考えたい気分になっております。特に、最初と最後の場面はどうつないで解釈すべきか、結構悩んでしまうのです。この間の元夫を主人公にした意識の流れを追ってみるというのが面白いのかも。

どのみち、この作品、記憶だけで反芻しているので、やたらにフラストレーションがたまっています。ううっ、ビデオが見たいよお。(DVDならなおよし)

投稿: てらまこ | 2005年6月21日 (火) 01:04

 紀伊国屋本店向かいのTSUTAYA新宿店でビデオテープがレンタルできましたよ☆映像状態も良かったです。
 ツタヤって、カードを作った店舗以外の店でもレンタルできるようになったので、重宝してます(^^) 

投稿: るんせる | 2005年6月22日 (水) 18:29

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