隣国の王子さまが好きーーー「天山の巫女ソニン」のクワン王子
ようやく娘が読んでくれたので感想を語り合える相手が出来たのが嬉しい☆
ということで、先月新刊が出た児童文学。
菅野雪虫「天山の巫女ソニン」(講談社)。
田畑の広がる豊かな国である沙維、海の幸に恵まれた南国の江南、山と森と草原に覆われた北の国の巨山。この三国で新たな歴史を作っていくであろう、若い王子や王女達、そして、彼らにかかわりながら影響を及ぼしていく元・天山の巫女であった少女ソニンの物語。
政治的な駆け引きの部分が児童文学としてわかりやすく描かれていて、現実社会における無償の食糧援助が被援助国の政治・経済に及ぼす危険性なんかを娘に語り聞かせる材料にも使えそう。
とか考えつつも。
みーはーですみません。カップリング予想にいきなり走ります(笑)
ソニンが12才という幼い年齢で登場したのは、そういう部分への読者の期待を排除して成長物語として描いていくためなんだろうと思いつつ^^;
前にもちらっと感想書いたけれど、ソニンが成長してお相手さんが出来るとしたら、相手は隣国の江南の妾腹の王子であるクワンよね!と思ってます。
でも、娘に思いっきり否定されてしまったよ・・・・・・。
「おじさんじゃん」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
13歳のソニンに対してクワン王子は28歳だ。ソニンと同じ年の娘としては、28歳というのははるか彼方の年齢らしい。児童書であるこの本のターゲット層は、私の年代じゃなくて娘の年代だろうしなあ。好き嫌いは別として、相手として想定するのはイウォル王子みたいな年齢の近い男の子じゃなきゃ駄目らしい。うーーーーむ。
少女小説好きのハハとしては、
「そのくらいの年の差が何だと言うの?レベッカ・ランダルとアラディン氏なんて、18才も違うのよ!」
と反応しちゃうんですけれど、「少女レベッカ」未読の娘であった・・・・・・。
まあとりあえず、予想の根拠とした部分を書き残しておこうっと。結局はずしまくって後で読んだら大笑いなのかもしれないけれど、それもまた一興。
(思い入れの強いカップリング予想は、はずすと再読意欲減退になるから、あまりはずれてほしくないですけれどね(笑))
●第一巻での思わせぶりな登場
1巻のラスト近くでようやく登場するクワン王子。
1巻だけの話の流れを考えれば、無理やりここで出さずに2巻から登場させるというのも不可能ではなかったはず。
でも登場した。ものすごく思わせぶりな形で。
ということは、作者は
(後から出てきた奴がかっさらっていった)
という反応を避けるべく、最初の段階でお相手候補者をちゃんと出しておくことを意識していたと思われる。あるいは、作者のこのキャラへの思い入れの強さのあらわれか。
●第三巻での頻繁な登場
第三巻は、ソニンとイウォル王子が巨山の国を訪れて、カリスマ性の高い「狼殺しの王」の娘であるイェラ王女とかかわりを深めるのがメインストーリー。だから、江南の国の王子はこの巻ではメインストーリーにはかかわってこないと思ってた。
にもかかわらず、頻繁に登場する彼(笑)。
ソニンの回想の中で頻出する。ソニンの運命にもかかわる形で裏で動いている。
彼は今後、三国の歴史を語る物語にだけではなくソニンとも深くかかわっていくことになるので彼とソニンのつながりを忘れちゃダメだよ、という作者の意図がかなり入っていると見た。名前が一度か二度出る程度の登場かと予想していたんだけど。そうよね、一年に一冊程度の刊行だもの。名前が2、3度程度じゃ読者に存在忘れられちゃうわよね。
思っていた以上に出てきたので、第三巻を読んだ時は嬉しかったわ☆
●彼に対する彼女の反感
ソニンは、かつての修行ゆえに、あまり感情を大きく動かさない。生真面目で非常に冷静でいい子なのよね。
そんな彼女のクワン王子に対する感情的反応が何か不自然なんだ。
何度も何度も彼を意地悪だと表現する。人に対する好悪の感情が全くないわけではないけれど、それにしてはガキ大将的な彼に対する反感の部分の描写がが妙に多く印象に残る形になっているような。
この物語は、感情を抑える訓練を続けていた巫女であったソニンが、巫女としての資質を残しつつも人としての感情や揺らぎの部分をも同時に成長させていく物語であると思う、多分。
だから、彼に対する彼女の反感っていうのは、彼女の中の人としての自然な感情の芽生えを示す重要なキーとして描かれていると思うんだな。
●彼女に対する彼の感情
こっちはもう読者に対してはっきりと伝わる形になってますね(笑)
2・3巻ではほのめかされる程度だったけれど、4巻では明記されているようなもんだ。
二巻のこの場面に醸し出される二人の雰囲気がとても好き(笑)。
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傷が痛むのか、クワン王子は少しずつ体を動かしながらソニンに言いました。
「何か歌でも歌ってくれ。気が紛れるように」
「歌は知りません」
「なぜだ?」
「天山の巫女は歌わないのです。歌うと人は楽しくなったり悲しくなったりするからです」
クワン王子はがっかりしたように呟きました。「役に立たない女だな」
勝手なことを、とソニンは思いました。
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妹リアンの病をもしかしたら治してくれるかもしれないと、かつて夢見たこともあった、天山の巫女という存在。俗世と離れた神秘的な存在感の大人の女性と思いきや、はじめて出会った天山の巫女は、自国の王子を救うための決死の旅をしていた小汚いガキで。
だけどそのガキは凡庸なガキではなく、クワンが当初思い描いていたのとは別の意味で俗世に染まっていない、誠実さと思考力に富んだ意外性のある存在だったわけで。
いつのまにやら彼はずっと年下の娘に、女という部分を期待しちゃってるんだな(笑)そして当然ながら、そんなことはかけらもわかっちゃいない応対をするソニンの姿が大変愉快(*^^*)
クワン王子の友人セオがはっきりとクワンの心情を看破した上でソニンに対して
「いくら子どもでも巫女でも、鈍いにもほどがある」
と言い放つのにも笑えましたよ。
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