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2009年4月 1日 (水)

「蜉蝣峠」を観てきた

 赤坂ACTシアター1階前方センターブロックにて、「蜉蝣峠」観劇。
 ネタバレしまくり感想書きます。これからご覧になる方はご注意を。


 映像収録日で、カメラが多分全部で14台。
 サイドや最後列だけでなく、2,3列目あたりのセンターブロックにもカメラがどーんと入るのね。かぶりつきに近いお席をゲットできていても映像収録日だった場合は要注意ということか・・・・・・・。私のお席は通路より後ろで、舞台全体が見やすい位置だったから問題なかったけれど・・・・・・・・。

 いのうえ歌舞伎というよりは、西部劇もどきの雰囲気で始まる舞台。
 下ネタも内輪ネタも満載で、ここはイタの上の虚構世界といった開き直りみたいにはじまるのに、徐々に哀しみや残酷さが物語の中に入り込んできて、サスペンス仕立ての中で哀しさや残酷さが全開となっていき、いつのまにやら虚構であることを忘れさせられていく。

 サスペンスという意味では、ラストにもうひとひねりなかったのは残念ではあったけれど。そういえば「メタルマクベス」を見た時も、ラストのバーナムの森がよくわかんなかったのは不服だったのよ・・・・・・。
 今回の舞台、闇太郎が「思い出した!」と言った後、もう一回どんでん返しがくるかと期待した・・・・・・・・でもどんでん返しが来なかった^^; 「思いだした!」の叫び方がドラマチックだったので、展開がさらにドラマチックになるかと思ったのに。

 登場人物の中では、堤真一さん演じる天晴(あっぱれ)が好きだ。今まで彼が演じた訳の中で一番好きだったのは「アテルイ」の坂上田村麻呂だったんだけど、一番好きな役がかわってしまったじゃないですか・・・・・・・。
 彼の殺陣、大好き。右肩に剣をかけて立ってる姿がいい。豪快に剣を振り回した後に浮かべる陽気でありながら乾いた笑顔が好きだ。すそが乱れて豪快に太腿見せている姿が素敵だ。とにかく素敵だ。かっこよすぎる。

 天晴れとお泪(るい)の関係が好きだ。

 親を殺され、ろまん街で生き続けるお泪。幼馴染を待つ想いのみが自分の中の純粋な部分だから、その想いを捨てずに抱き続けるお泪。長い孤独の中で、自分を囲う男・天晴れに対して、諦めや恨みだけではない思いを抱くようになっているが、どこか刹那的なその男は彼女が欲する言葉を彼女には言わない。だから、蜉蝣峠の闇太郎がろまん街に来て、待っていた幼馴染にようやく会えたと思えた時、そして記憶をなくしているその男がそれでも彼女をストレートに想う言葉を口にする時、彼女の孤独感は溶けていく。闇太郎が口にした言葉は、彼女がずっとずっと求めていたにもかかわらず天晴れからは得られなかった言葉だったから。

 天晴れは闇太郎とお泪を夫婦とさせる。
 その後、天晴れは闇太郎に対し、何故自分がお泪と夫婦とならなかったかを語る。彼女は知らないが、自分が彼女の親の仇であるから、と。

 仇でありながら、彼はお泪を買ってお泪を囲っていたわけであり。
 でも、お泪への思いはストレートな罪悪感なんかでは勿論ない、心に闇を抱える男・天晴れ。
 真相が明らかになることによって。
 お泪が夫とした男が誰であったかが明らかになることによって。
 その男が誰であったかを天晴れが最初からわかっていたことすら明らかになることによって。

 天晴れのお泪に対する残虐さが明らかになるわけだけど。
 残虐にならざるをえないほどの衝動、諦めを豪放磊落に見える外見の下に抱えている彼。
 多分、お泪の仇だから線をひいていたというのも本当なんだろう。彼女との間に線をひきつつも彼女に見せていた男としての情もある程度は本当なんだろう。
 でも、すべてを笑いとばしたい残虐さもまた彼の一面であり、人生や世界をすべてぐちゃぐちゃにしながら笑っていたい残虐な絶望感が哀れでもあり。お泪に対して男としての情があったからこそ、沈黙と笑いの底にお泪に対する残酷な仕打ちをしたくなる、せずにはいられなくなるような部分もあったんだろうなあと想像する。

 といったようなことを感じていたので、闇太郎と天晴れの対決シーンのあたりに、もうひとひねりほしかったなあ、というのは残念ではあるんですけれどね。

 ラスト二場面がひたすらに美しい。

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