○チケット購入時期待
大野拓史の作・演出によるスクリューボール・コメディということなので、とても楽しみにしていた宝塚雪組公演のお芝居「ロシアン・ブルー 魔女への鉄槌」。
以前、宝塚星組のドラマシティ&青年館公演だったスクリューボール・コメディ「ヘイズ・コード」がとてもとても楽しい公演だったから。楽しくて小粋でお洒落。日本物の大野作品もいいけれど(というか、若い演出家で日本物が書ける人が大野氏かおらんという現状の怖さ・・・・・・・・・・)、どっちかというとこの手のコメディの方が万人向けに楽しい物に仕上げられる演出家さんなのかな、という印象を持っていた。
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○開演直前時
開演前にプログラムを購入した。
(ル・サンクの脚本は発売時に本屋で買って、事前に流し読みしてあった^^;)
メインキャストのページを開くと、そこには大野作品ならではのキャスト紹介ページがある。
宝塚プログラムのキャスト紹介ページって普段は読みづらいんだ。
メインキャストのページにあるのは、スタークラストと専科・上級生のみ。
思わぬ下級生が抜擢されて要の役を演じていても載ってなかったりもする。
そして、場面ごとのキャスト紹介ページは見事に学年順。どの役がどの人なのかわかりづらい。
しかし、このプログラムのお芝居のメインキャストページは、下級生の役どころまで簡単な説明が載っていて、しかも、学年順ならぬ、キャストグループごとの配列になっていたりするので、とってもとってもわかりやすい。
これこれこれ、こういうキャスト紹介ページがほしいの。
大野くんはこういうページを自分の演出芝居でプログラムに作ってくれる親切な人だ。 取り扱う芝居背景について客に沢山知っておいてほしいという彼自身の思いの強さでもあるんだろうけれど。1930年代のソ連やアメリカに関して、普通の宝塚ファンが普通に知ってる有名人の名前なんて片手で数えられるかもしれないわけだし(^^ゞそのあたりも、これは実在の人物、これは架空の人物といった説明も合わせて、細かく教えてくれるのだ。
こういうオタク的なこだわりが好きだ。
その後、作品について演出家が語るページで大野くんが語る言葉を読む。
うけた。
演出助手となっての研修期間中にはじめて見た新人公演で思ったのは
「やっぱり新人は下手なんだな」
だったらしい(笑)けれども一点、主演者の、華、スター性、輝きといったキラキラ感の魅力に気づき、宝塚歌劇のスタッフとして、そうした輝きを守り続けていかなければいけないのだと理解したのだと。その時の主演者が、今回の主演者たる水夏希であると文章をまとめるわけであるが。
大野くん、自分の文章で、書いてない重要な部分をわかっている?(苦笑)
書いていないことの、その痛烈さ、厳しさ。
輝きっていうのは、ごくわずかな人しか持っていないからこそ輝きなのだ。大部分の人は、輝きは持てない。最後まで。
つまり、彼にとって、その新人公演における主演スター以外の大勢の人は本当に本当にただの「下手な人」だったのね^^;
うけながらも、これは笑い事ではないのかもしれない、と少しずつ不安になりはじめる。
彼の脚本は、出演者全員に名前つけて設定もがっちり説明しているから気づかれないことも多いけれど・・・・・・・・・
実は若手スターに結構容赦ない。
専科さんや上級生さん、ベテランさんに目立つ大きな役をつける・・・・ベテランさんを使いすぎて、売り出し中の若手スターさんの印象よりもベテランさんの印象の方が圧倒的になる芝居がものすごく多い。
渋い役、難しい役を、育成中の若手にやらせるのは避けたいタイプなんだな。
自分の書いた大事な脚本を、うまい人に演じてほしいんだな。発展途上、もしかしたら発展しないかもしれない下手な役者は視界の外に置きたいんだな。
気持はわかる。見る方の私も、うまい人が役を演じてくれる方が嬉しいし。
専科さん、上級生さんの、若手とは全然違う巧さを見せる舞台が大好きだ。
しかし・・・・・・・・・・・今後の宝塚のことを考えると・・・・・・・・彼の徹底ぶりは結構危険でもある。ここ数年、素晴らしい舞台を見せてくれてた専科さんの退団が続いているし、年齢的なことを考えると、これから数年の間にベテラン専科さんは多分さらに減っていく。
舞台を観る方の私は、下手な子が大きい役やって印象に残らないよりもずっとよくはあるんだけど。5年後10年後とか考えると・・・・・・・。5年後に私が宝塚を観られる体調を保っているかなんてわからん!とか思うと現状のベテラン偏愛、ベテラン贔屓、でもいいかしら、とちらりと思わないでもなかったりもするけれど^^; でもやっぱり、継続的に劇団としてカンパニーをやっている所は≪5年後10年後をみこして役者を育てる≫ということをきっちり考えてほしいの・・・・・・・・。
○そしてやはり・・・・・・・・?
「ヘイズ・コード」は、星組の新トップお披露目公演だったけれど、トップコンビはどこがお披露目やねんのベテランだったし、脇をかためる人達も皆個性的でうまかったりする人ばかりだったので、大野くんのベテラン好き部分なんてかけらも気にならなかったのだけど。
「ヘイズ・コード」大阪では実は主役の喉不調という怖いトラブルもあったのだけど、演出変更があちこちに入り、特に、主役ソロくちぱくにとどめて(:_;)でカゲソロに若手だけど歌がものすごくうまい水輝涼くんを起用する場面も入る等、ナイスな演出変更もあったりして。そんなこともあったので、演出家としての大野くんへの結構期待するものもあったりするのだけど。
トップ娘役に抜擢された愛原実花ちゃんは、今後毎公演ヒロインをやっていくにはかなりやばい欠点がある人だと思った。
娘役の発声というのは、普段その人が喋る音域で喋ってはダメだったりする。
男役が相当に声を低くして感情表現できるようにしているが、それでも声が高めな男役もいる。特に若手の男役には多い。
そうした男役とがっつり組んで芝居をする娘役は、地の声よりも少し高めの音域で台詞声をつくらないと、男役との声バランスが悪くなる。
だから、歌の訓練をする時に、台詞の声を安定させるということをも意識しなければならないと思うんだ。このことは昔、演出家の柴田先生が発展途上の娘役との対談でもよく語ってたりしたんだけど。
愛原実花ちゃんは、ヒロイン芝居を意識するように劇団に育てられてなかったところをいきなり抜擢されてしまったんではないだろうか。
だから、地声とおぼしき低い声の聞こえ方なんかは決して悪くないんだが、ヒロイン芝居の声として通しで聞くと、声が妙に不安定で、演技力とか感情表現とか以前の問題なのだ。歌の破壊度なんかを聞いていると、練習にあたって歌レッスンの比重は低かったんだろうな、その結果、声を出すということへの今までの意識の低さが出てしまっているんだろうな、と思った。
厳しくてごめんね。
でも、いつでもころころと入れ替わりがある二番手以降の娘役と違い、トップ娘役というのは、歌を少なくされることはあっても、感情表現を伴わない台詞ばかりで乗り切るというのは不可能。
早急にボイストレーニングの先生をがっちりつけてあげて、台詞の声を安定させてあげてほしい。歌は短くしたりカットしちゃったりというのはできるけれど、台詞を最小限にするというのは難しいし・・・・・・・・・・・・・喋れない女の人という役どころで、ビジュアルもしくは演技力によって魅せられるタイプにも見えないし^^;
演出家の大野君はヒロインの彼女の欠点に関し、かなり巧妙な隠し方をしていた。彼女をピンで舞台上におかないのだな^^; 上司の役の専科の五峰亜季さんがかなり多くの場面でがっちりそばにくっついていて、目立つ役割をこなしているから、あまり目立たないヒロインになってしまっているんだけど、おかげで声の欠点も若干目立たない。しかし次の公演以降どうなっちゃうんだろう・・・・・・・・・。
専科の美穂圭子さんも大活躍。やっぱり大野くんはうまい人が好きなんだなあ、としみじみ思った。
比較的若い子でばっちり印象的な役がついている子は緒月遠麻くんだったりするし。三番手の音月桂ちゃんよりもおづきくんの方がいい役だ。というか、大野くんの音月桂ちゃんへの評価って低いんだ・・・・・・・と、ちょっとがっくりしたけど^^;おづき君の骨太の男役らしさが高く評価されているのは嬉しいことだ。
ハマコ(未来優希)はやはり何を演じてもとんでもなくすごい存在感だなあ。
そして、専科の汝鳥怜さん。スターリンのそっくりさんの役。実在の人物。やはり存在感の大きな役で、ソロナンバーまであるーーーーーー(@_@。
「グランドホテル」で汝鳥さん大好きになったので、汝鳥さんにソロがあるというのは嬉しい。そういえば以前星組で「1914/愛」を観た時、
(大きい役をやるスターに歌うまさんがほとんどいないんだから、せめて汝鳥さんに歌わせてくれーーーーーーーーー」
と欲求不満に陥ったことを思い出してしまった^^; 「フレデ親父の歌のおまけ付きだ」なんていう台詞が入ったこれからソロか?と思ったら場面転換だったから、あの公演は耳的な欲求不満がひどかったのよ^^; ちなみにあの作品の演出家は谷正純氏。
今回の雪組公演は、ゆみこちゃん(彩吹真央)とかハマコ(未来優希)とか美穂さんとか、出るなら当然何曲も歌う、という人達が沢山いる中で、汝鳥さんの歌が聴けるなんて嬉しかったな。
そして、それだけスターさんがいるのに、若手をおいといて汝鳥さんに歌わせることを選択した演出家・大野くんに、ブラボーの気持と不安の気持の双方を感じてしまったりするわけではあるのだけど。
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